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一口コラム
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こちらのコラムでは週替わりで先生方が順番にお話しをしてまいります。
 
施術部西澤正樹

第737回 一口コラム

今回の担当は
施術部 西澤正樹 です。

令和6年9月25日

 

「小説家」

今回連休で少し時間が持てた事もあり、試してみた事があります。
それは自分のアンテナに従って素直に行動してみる事です。
願わくば、それが何かしら自分を変革するひとつの種になる事を期待して。

以前ラジオをきっかけとして知り、
コラムで書いた「分人」という考え方を提唱した小説家に興味を持っていました。
そしてその人が実際どんな小説を書いているのか、という事が気になっていたので、著書「ある男」を読んでみました。

本格的な小説を読む事自体が、いつ以来か記憶にないほど久しぶりだった事もあってか、まずその描写の細やかさに驚かされました。
「分人」という、「一個人の中にもその時の環境や、対面する人に合わせた別々の人格が存在する」という作者の考え方からか、
登場人物の背景、環境をこと細かく描写する事で、自然と人物像を浮かび上がらせるような表現に至ったんだと思います。

そして、物語のテーマの一つとして
「人生は生き直せる」を感じました。

「戸籍を取り替える事により他人に成り済まして生きていく」という事件が物語には出てきます。
それをきっかけに、

戸籍を入れ替えるしか方法がないほどの悲惨な人生を歩んできた後、
「過去と決別し全く新しい人間として新たな人生をしっかりと生き直した人」

戸籍を入れ替えたが、
「過去を捨てきれず、結局中途半端にしか生きられなかった人」

という対称的な2人が出てきます。

更には、あたかも他人と人生を入れ替えたかのように、
「今いる環境の中で自身を見直し、自分自身の人生を新たに歩み出した人」も。

作品中の表現で出てきた、
「出生以後、肉体の形と体積を通じて、
特に誰の許可を必要とする訳でもなく空間的に独占してきた自分という領域」

皆さんはちゃんと活かしきれてますか?

いずれにしても、作者の考え方を知った上で小説を読んだ事により、自分の信念や考えを、活字のみを武器に小説にまで昇華して表現している小説家に只々圧倒させられました。

この作品、映画にもなっており、そちらも拝見しました。
物語の設定が映画用に少し変えられていたり、役者さんそれぞれの「味」が出ていたり。
それはそれでまた感じるものがありました。
ご興味があれば是非。


 
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