「知らない常識 ― カーテンコール ―」
先日、舞台を観に行く機会がありました。
舞台が終わり、幕が下りる。
「終わったんだな」と拍手をしていると、再び幕が上がり、出演者の皆さんが登場する。
そして、また幕が下りる。
ところが、しばらくするとまた上がる。
「ん? また出てきたぞ?」
そんなことを思っていると、後ろの方では立ち上がって拍手をしている人もいる。
一番前の席だった僕は周りの様子もよく分からず、
「これは立つやつなのか?」「何回あるんだ?」
と、とりあえず拍手をしながら様子をうかがっていました。
あとから知ったのですが、これがいわゆる「カーテンコール」。
英語では “curtain call”。
舞台が終わったあと、観客の拍手に応えて出演者が再び舞台に姿を見せることをいいます。
面白いのは、これが単なる「終演後の挨拶」というより、観客の拍手と出演者の応答によって成り立っていること。
つまり、必ず「幕は一回だけ上がります」と決まっているわけではありません。
拍手が続けば、もう一度。
さらに続けば、またもう一度。
公演によっては何度もカーテンコールが行われることもあるそうです。
なるほど。
だから僕は「終わったと思ったのに、また幕が上がった!」を繰り返していたわけです。
さらに、特に大きな称賛を示すときには、観客が立ち上がって拍手をする「スタンディングオベーション」もあります。
舞台をよく観る人なら当たり前に知っていることなのかもしれません。
でも僕にとっては、全部が初見。
こういう「その世界では当たり前なのに、一歩外に出ると全然知らない常識」って、面白いものです。
スポーツにも、仕事にも、趣味にも、
その世界にいる人だけが自然と身につけている作法や習慣がある。
知っている人にとっては説明するほどでもない。
でも、知らない人からすると、
「え、いつの間にみんなそれ覚えたの?」
となる。
知らないからこそ戸惑うけれど、
その戸惑いは、自分が今まで知らなかった世界に足を踏み入れた証拠でもあるのかもしれません。
ちなみに今回の僕は、
幕が下りるたびに、
「これは……本当に終わりか?」
と疑うようになりました。
ひとつ、新しい常識を覚えました。 |