「骨に尋ねる」
最近手に取って読んでいる本に「骨格百科」があります。
サブタイトルは「その凄い形と機能」その本では人間を含めた沢山の動物の骨格について、イラストと共に説明しています。
形は機能と直結していると廣戸先生もよくおっしゃいます。
読んでいると、それぞれの動物がそれぞれの生活環境で生き抜く為に、独自の進化を遂げていった事に感動すらさせられます。
今注目して見ていたのは顎についての項目です。
まず、食べる事は生きていく為に必要不可欠な行動です。
それをするための構造で特に特徴的だった例を、幾つかお伝えしたいと思います。
まずホッキョククジラには歯がなく、常に口を開けて水面をすくいとる事で、小さな生き物を大量に集めて食料としています。
上顎は巨大なアーチになっていて、その事で口の中に大きな空間を有しています。
更に頭蓋骨が全長の1/3を占める程もあり、そのほとんどを顎が占めている構造により、超巨大な口を開けて一度に大量の水とエサを効率的に摂取出来ているようです。
一方ニシキヘビは獲物を丸ごと飲み込みます。
そのため下顎の後部に2つの関節をもっていて、その事で上顎に対して下顎をほぼ垂直に開く大きな可動域を獲得しています。
更には下顎自体が左右に分かれる事もでき、その間にある皮膚が伸びる事で横にも袋状に広げる事が出来るようです。
また鳥類は飛び立つため、少しでも体重を軽くする必要があります。
そのため歯はなく、くちばしという尖った軽い「さや」を進化の過程で生み出したようです。
人間の場合はどうでしょうか?
類人猿の時代には顎は前方に突き出した状態でした。それが脳の発達に伴う後頭部の肥大と、同時に額の位置が高くなる事により、前頭部の下に顎がおさまるようになりました。
そのため歯の為のスペースは狭くなり、現代人の歯並びになったようです。
様々な形をした歯の役割を活かして効率的な咀嚼をするためには、上顎に下顎が垂直に向き合う事が大切です。
そのためには頭を水平に保ち、下顎を垂直にぶら下げる事。
それを保ち続けるための体幹の柔軟性。
やはり正しく立つ事が基本なんですね。
他の動物の骨格を見る事で、人間の骨格の形と機能を見つめ直す。
何か面白い発見や重要なヒントが見つかるかもしれません。皆様も是非(^ ^) |