「ビックイヤー」
私の前回のコラムで書かせていただいた、フットボールのイングランド・プレミアムリーグ、マンチェスター・シティ(以下マンC)が今シーズンのヨーロッパチャンピオンズリーグ(CL)決勝でイタリアのインテル・ミラノを1-0で破りクラブ史上初のヨーロッパチャンピオンになりました。
このタイトルの他にプレミアムリーグと国内カップ戦のFAカップも優勝しており見事三冠達成となりました。
タイトルにある「ビックイヤー」とはこのCLのトロフィーの取っ手が「大きな耳」にみえることから優勝自体も含めてそう呼ばれています。
マンCは欧州の上位へは毎年のように進出するもののなかなかCLのタイトルは取れずにいました。
決勝も、やはり前回お伝えしたケビン・デ・ブライネを試合途中の怪我で欠くなど厳しい展開ではありましたが、これまでにない「なりふり構わず」感に溢れた内容で勝ち切った印象です。
というのも、監督のグアルディオラは古巣バルセロナの監督時代にメッシ、イニエスタ、シャビなどを擁して相手にボールを渡さず自分達で試合を支配し続けるポゼッションサッカーで世界を席巻しました。
バルセロナの伝統的なサッカー哲学や彼自身の拘りが「美しく勝利する」ことに重きをおいていることで、これまで泥臭い勝ち方を忌避する傾向が垣間見えて逆に格下相手に足元を掬われることがありましたが、現実的な試合運びで勝ち取った念願のタイトルだと思います。
ところで、新聞やスポーツニュース等でフットボールの記事にスタメンやフォーメーションが紹介される場合に、
「4-4-2」「4-2-3-1」「3-4-3」などの表記をみかけます。
数字の先頭がディフェンダー(味方ゴール近くに位置する選手)で後ろに行くほど相手ゴールに近い位置取りをしている選手(フォワード)になりますが、現代のフットボールではこれらの表記は「攻撃時の」という制限がかかることが殆どになりました。
ですから大きくわけて、攻撃時(味方のボール保持時)と相手にボールを保持されている時(=守備時)にはフォーメーション(配置)を変えるゲームプランで試合の準備をします。
特に格上と戦うときはなかなかボールを奪えない現実を目の当たりにさせられますから、「点を取る」ことより「失点しない」を優先せざるを得ません。
攻撃用のフォーメーション」より「守備用にフォーメーション」がその時点での最適解になり得ます。
が、守ってばかりでは点が取れませんから「点を取るためにどう守るか?」という考え方が必要ですし、昨年のワールドカップではそのような準備を周到に行った日本やモロッコ、コスタリカの戦いぶりが強豪国を倒す原動力になったと思います。
予定通りにいかない状況でも冷静かつ冷徹に現実を見極めることまたそういったことを踏まえて準備を行うこと、理想とは違う場面でも本来の目的を見失わないことはとても大切なことかなと思います。
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