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一口コラム
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こちらのコラムでは週替わりで先生方が順番にお話しをしてまいります。
 
施術部部長 小杉英紀

第660回 一口コラム

今回の担当は
施術部部長 小杉英紀です。

令和5年3月8日

 

「温故知新」

最近読んだ「運動脳」という本の中に、ヒトの脳内で分泌されるドーパミンは集中力に関係していてこのドーパミンは運動によって分泌量が増える、ということが書かれていました。

私が専門学校生だったときに、学校側から卒業論文のテーマとして割り当てられたものを研究した(させられた?)のですが、そのテーマというのが「既存の数値から健康指標になるものを新たに作る」という主旨のものでした。

「体温や血圧など一般でも測定可能なものの相関関係を調べて規則性を探し出せ」ということです。

そこで、学校から「是非これを使用して」と盛り込まれたものが「フリッカー値」でした。

「フリッカー値」というのは脳の疲労度を表すもので、当時使用した測定器は大きさは万華鏡ほどで、使い方も同じように片目で中を覗くようにします。
中にはデジタルの光源が超高速で点滅していて機械に付いているボタンを押し続けるとその点滅の間隔が長くなっていきます。
要は断続的に光って見えているものがボタンを押し続けることでチカチカして見えるようになってくるということです。
このチカチカになった時点で示される数字で脳の疲労度を測定するということです。

脳が疲労しているとチカチカが確認出来るまで時間がかかり、疲労度か低い(活性化している)とより早い段階でチカチカして見えるのです。

で、実験方法はトレッドミルで負荷(マシンの速度)を何段階かにわけて一定時間ずつ走り、(走行)終了直後の「フリッカー値」「心拍数」「血圧」を測定して「負荷」を合わせた計4つをそれぞれをグラフの縦軸と横軸を組み替えながら何か見えてくるものは無いか?という研究でした。

その結果、より高い負荷をかけた時の方がフリッカー値が高い、即ち「脳が活性化している」という結論が導き出されました。
測定者の状態でいえば心拍数が多く呼吸も荒い方がフリッカーテストの数値が高かったのです。

当時の担当教授からは「授業も椅子に座らず立ったままのほうが集中出来て頭に入り易いのかもね」というお言葉をいただきました。

冒頭の本を読んだときに、四半世紀以上も前にしたこの研究のことを思い出しました。
当時は4名のグループで研究に当たりましたがなかなか面白い結果だったと話した記憶がありますし、「集中力とドーパミン分泌量と運動」の関係からみるとなかなかいいところをついた結論だったのかなと思います。

見方や見る角度を変える、複数の視座を持ったり、当たり前と思い込んで見逃していたことに気付いて改めて見直すことはとても意義深いことだと思います。
その時は取るに足らないことに思えても経験や知見が増えた段階まで待ってみるとまた違った感想や意見が出てくるのだと思いますし、時には時代に逆行して結論を急がないことも大切なのかなと思った今日この頃であります。

 


 
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