「妄想と呪縛」
古くからの知人(Aさん)が高校の野球部に所属していたときの話です。
その野球部にはOBのコーチ(Bさん)がいらっしゃったそうなのですが、高校生のころ小柄で華奢だったのが大学時代にウェイトトレーニング(以下筋トレ)に勤しみそれは立派な体格になられて母校に戻ってこられたそうです。
Bさんにしてみたら、筋トレで体力が着き体格も変わったことで色々なことに自信が持てたのでしょう。
高校野球の現場に本格的なトレーニングとして筋トレが導入され始める前の時代に「筋トレしないと強くなれないぞ」と選手に筋トレを指導し始めたそうです(もちろんご自分も一緒にされながら)。
ただそのBさん、実際にボールを打つと立派な体格の割には全く飛ばなかったそうです。
逆に体格も筋トレの数値も低い高校生のほうが遠くまで飛ばせていたということです。
レッシュ理論、というと「筋トレ不要」と思われている方もいらっしゃるかと思いますがそうではありません。
「筋トレで筋肉を大きくすればパフォーマンスが上がる」という考え方を再考しよう、その上で身体の原則に則って機能向上を促すためにそれにかなった筋トレをしましょう、という見解です。
Bさんの例でいえば、ボールを遠くに飛ばすには、単純な筋肥大は野球の打撃力向上には直結しなかった、ということです。
ボールを打つために必要だったのは正しく身体を動かせる準備が出来たか?その上で正しく身体が動いているか?(動かせているか?ではありません)を考えるべきだったのではないでしょうか。
ちなみにこのBさん、夏の大会で試合前の外野ノックを担当されていたそうですが、試合前の選手そっちのけでボールのスタンドインを狙っていたそうです。
まだ観客も疎らな1回戦あたりは飛距離が出ず目標達成はならなかったのに、勝ち上がって満員に近くなったときに見事「ホームラン」を打てたそうです。
が当然高野連の大会本部から「本来の主旨である試合前の守備練習とは違うことをして観客に危険なことをするとは何事だ!」とこっぴどく叱られたとか…。
まあ、当のご本人は「筋トレしたからホームラン打てた」とご満悦だったそうです。
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