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一口コラム
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こちらのコラムでは週替わりで先生方が順番にお話しをしてまいります。
 
施術部部長 小杉英紀

第639回 一口コラム

今回の担当は
施術部部長 小杉英紀です。

令和4年9月28日

 

「大と小」

古今東西、様々なジャンルにおいて達人やレジェンドといわれている人たちには須らくその動作に「JIKU」が存在しています。日本では概念としてその存在を言語化していました(少なくとも英語圏では「JIKU」に相当する単語は無いようです)。
日本(語)での言語化とはいえ、その定義は曖昧で何となくこんな感じとかいい動きをした選手のフォームを見て「軸がブレていない」という言葉を使う側も聴く側も感覚的に理解している(つもり)のが今をもって現状かと思います。

この「JIKU」を廣戸先生は定義してレッシュ理論の根本としたわけですが、
いざ言葉で示されたとおりに、
「軸を作る」「軸で立つ」「軸で動く」
となるとなかなか難しいものです。
「トップオンドーム」「軸点を垂直に揃える」といった言語化された人体上の部位とその配置を理解し用いて「軸を作った」としても実際に動き出すと「軸が消える」ことはよくあることですしそのような相談を受けることもあります。

反面、理論や定義としての「JIKU」を知らなくても「出来ている」人は冒頭でお話した通り数多く存在しています。

思うに、頭で考えて作った(=理論的な)「JIKU」はまだ未完成なのではないか?ということです。脳の領域でいえば大脳の範疇の軸、仮に「大脳軸」とでもしましょう。これは言語化され再現性が高いので論理的ともいえますが、ヒト(や動物)の動作を司るのは小脳とそれが持つが運動調整機能によるものです。

ですから、理論的に(頭で考えて)「構造上の身体の部位で重心の集まる『軸点』を揃えて軸を作る」行為は「大脳軸」で、断続的に行われる動作の中で発現するのは「小脳軸」ということが言えると思います。

この「大脳軸」と「小脳軸」、前者は再現性は高くても些か脆さを孕んでいます。「動いたら消える」はそのためです。逆に後者は「自分が思い通りに動けるか否か」を体感的な「JIKUの有無」で体現しているといえます。誤解の無いようにいえば「JIKU」を知っている私よりメッシやロナウドの方がより強固な「JIKU」を持ってしてピッチに立っているはずです。

どんなに言葉を尽くしても、身体の動きは最終的には言語化出来ない本人の感覚によるものでしか判断出来ないのです。ですから実際の動作における「使えるJIKU」を体得するには「準備でJUKUを作りそれを維持するように動く」こと以外に方法は無いように思います。


 
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