「理に従う」
先日、廣戸先生とある弓道家の方との対談にご一緒させていただく機会がありました。
その方は五段以上の方のみが受けられる試験に合格し、「錬士」という指導者の資格を取得された方でした。
その試験の前にレッシュ理論の指導をお受けになり、当日はゾーンに入った感覚で、結果発表前に合格を確信出来るほどの会心の動きが出来たとの事でした。
そして試験を受けた160人の中で唯一の合格者になれた事に感謝を述べてくださいました。
弓道には「正射必中」という言葉があるそうです。的は、「当てる」のではなく「当たる」もの。
そのために作法があり、昇段試験でも、例え的に矢を当てる事が出来たとしても、そこに至るまでの呼吸も含めた所作の精度が高くないと試験に合格する事は叶わないそうです。
廣戸先生も、「"礼法"というものは人間の身体の理によって作られているものである。
形ではない。その理に従う事で、数学でいう方程式を手にした事になり、必ず答えに辿り着ける。それが基礎、基本というもの。
それを追求していくと物事は引き算になっていく。逆にそれをしないと足し算になっていき、動作が複雑になってしまう。」
というような内容の事をおっしゃっていました。
また、日本古来の道具に対してのお話もありました。
例として、同じ風をおこすものとして、扇子とうちわを出されていました。
扇子の縦幅は前腕と同じ幅であり
前腕の回旋で扱うように出来ている事。
対してうちわの縦幅は上腕と前腕を合わせた幅になっており、腕全体を使って大きく扇ぐように出来ている、それぞれの形状には骨格的な意味があるんだよ、というお話でした。
対談でのお話を聞き、日本文化の崇高さや、
基礎基本の大切さを改めて感じさせられました。
簡単に様々な情報が手に入り、物事をより複雑にしてしまいやすい現代において迷わないためには、「理」を理解する事が極めて重要ですね。
身体を理通りに扱える事。
道具にも意味がある事。
それらを理解し皆様の道標となれるように、精進して参りたいと思います。
|