「直感の裏付け」
スペインのサッカークラブ、FCバルセロナの監督シャビ・エルナンデス氏が現役時代に行った実験で、サッカーのゲーム中に彼の視線と脳の活動領域を調べる、というものがありました。
結果は、ボールのない所も含めて360°に目を配り味方と相手の配置や距離感を情報としてキャッチし、感覚的な活動を司る右脳を活発に使用している、ということでした。
「広い範囲から状況把握をして最適解を導き出す」ということ基礎として身につけ膨大な数(=経験)を積むことで、「考えて動く」ではなく「勝手に身体が動く」ようになったと思われます。因みに彼はその時の動画(自分の視野)を観ていてランダムに静止状態にしたその瞬間の、プレイに直結するであろう味方と相手の位置関係(配置)を記憶していたそうです。
「見ればわかる」「正解が見つかる」ということでいえば、ある熟練したテニスコーチはサーブフォームを観てフォルトやダブルフォルト(=サーブの失敗)を言い当てるそうです。「何故わかるのか?」との問いに「説明出来ないがわかる」と答えたとのことです。
以上2つの例を「軸」で考えると、直感も理屈で説明出来そうです。
シャビ氏は小柄でしたが当たり負けをすることやボールを奪われることがほとんどのなくプレイスタイルは「安定」そのもので、観ていると「軸」を感じさせる選手でした。そうなると直感や第六感が発動する条件は整いますし、テニスの例でもそこに「軸の有無」を感じ取っていたとしたらサーブが成功するか否かを言い当てられた理由がそこにあったのだろうと推測出来ます。
目にも止まらない速さで動くピアノの演奏や、どの組み合わせでも瞬時にお会計の値段を提示する定食屋のおかみさんも「考えて無い」のは明白です。
また、漫画家の浦沢直樹さんもご自身のYouTubeチャンネルで木の枝葉を描かれているときに
「なるがまま、Let it beで」
「あまり考えないで」
「はっきり見ようとする描けなくなる」
とおっしゃっています。
ヒトの動作には須らく「軸」を基本とするべきです。それは自身が動く時もそうですが、他人の動きを観る時にも用いるべきで、そうすれば馴染みのない競技や日常での立ち居振る舞いからもその人の身体機能性や改善点を読み取ることが可能になると思います。
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