「コロッケ」
といっても「いざ進めやキッチン」で始まる歌の末に完成する方、ではなくものまねタレントをされているかたのことです。
40年ほど前にテレビに出てこられた当初は形態模写をされていましたが、いつの間にか声まね、歌まねをはじめそこからオリジナルのネタを尽きることなく披露し続けておられることは本当に素晴らしいと思います。個人的には「ブルース・リーと熱々のやかん」と「ロボ五木ひろし」と「早送り野口五郎」が好きです。
数々のレパートリーをお持ちのコロッケさんですが、その芸風はリアルなものまねというよりは「デフォルメの極み」という感じかと思います。
岩崎宏美さんはあのような顔や仕草をして歌いませんし、野口五郎さんは歌唱中に絶対鼻の穴に指を入れません。でもその原型を知っている人にとっては何故か似ているように思えて笑ってしまいます。
コロッケさんがものまねの対象とする方々を観察された時に、何か目立つ部分とかここを強調したら「そうそう、そんな感じ」と共感が得られそうところを上手に手を加えているのかと思います。でもまねされた側の人は恐らくご自身でも知らず知らずのうちに「無意識」でしている「癖」を見せられているような感じではないのでしょうか。
「外から見るとこう見えてます」と
「そんな風にしているつもりはない」
の交錯。これは4スタンス別のタイプの動きを考える上で非常に重要です。
「意識せずに知らずに出てくるもの」が「その人のタイプの動きの特徴」であるとすれば「自分はこのタイプだからこう動く」というのは「デフォルメ」が入り「こってりしてしつこい」感じになる危険性があります。ましてやそれを見せられた側にその「こってりしてしつこい」動きを「原型」と取られてしまいかねませんし「そういう風に動かなければいけない」と思われてしまいかねません。
「わかり易く」したことがかえって正解から遠ざかる悪例ですね。
言い換えれば、岩崎宏美さんが岩崎宏美さんのまねをしたコロッケさんの顔や仕草で歌っては「ダメ」です。また岩崎宏美さんの真似をするコロッケさんををみて「岩崎宏美さんはこういう顔や仕草で歌うのか」と思ってしまうのは明らかな間違いですし、岩崎宏美さんにとって営業妨害になりかねません。
以上の理由から、特にレッスンやトレーニングの場において、「タイプの特徴」を強調し過ぎることはおすすめ出来ません。その動作に集中していたり入り込んでいる状態や楽しそうにまたリズミカルに動いている、上手く出来ている時のなかに見えてくる「タイプの特徴」を見つけ出せるかどうかが「4スタンス理論」との正しい向き合い方かと思います。
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