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一口コラム
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こちらのコラムでは週替わりで先生方が順番にお話しをしてまいります。
 
廣戸道場九州分室 二串幸之助

第561回 一口コラム

今回の担当は
廣戸道場九州分室 二串幸之助です。

令和3年3月3日

 

「ボール拾い」

こんにちは、九州分室の二串です。

今回は知人の息子さん達のお話をさせていただきます。

知人には2人の息子さんがいて共にテニスをやっています。
中学まではレベル的にそんなに差がない実力で、それぞれ別高校に進学しテニス部に入ったそうです。

中学までは同じくらいの実力だったのに、高校3年生になる頃には実力の差がついたそうです。

かたや県大会出場するかしないか、もう一方は全国に出場する実力になったそうです。

なぜ中学まで同じくらいだったのにこれだけの差がついたのか?
知人から、各高校の部活の内容を聞きました。

一方は1年の間はボール拾いが主で、その他先輩達の雑用をして、ボールを打たせてもらえるのは2年になってから。
細かい技術練習は主に3年生からだそうです。

もう一方は1年の時からボールを打たせてもらえて更に技術練習も1年からやらせてもらえる部だったそうです。

皆さんはどちらが全国に行った方かわかりますか?

実は前者の方が全国に行った方です。

私はこれを聞いた時に次の解釈をしました。

1年の間はボール拾いの部の方は、一見無駄な雑用ばかりで1年間無駄に思えますが、実はボールを拾う際に「身体の正面」、「同圧」、「しゃがみ方(スクワット)」等のレッシュの全体定理が入っています。
雑用には「状況判断」が身につき、それを一年の間に沢山やり込む事になり、テニスに必要な基本動作を不随意でも行える事が身についたと思います。
そして2年になってからの技術練習がこの基本が効いて本当の意味での習得が早くなります。

一方、後者の方は、いちばん大事な全体定理が身についていない状態で技術練習をしたので、基本の抜けた応用を身につけてしまい、結果的に上手く行かない事になってしまったと思います。

もちろん全部がこのケースではありません。
最初から全体定理が身についてる人は1年から技術練習の部の方でもすぐに上達すると思います。

しかし一般的に全体定理が身についていない人の方が圧倒的に多いと思います。

昔はこの無駄にも思える事を与えて、それを感覚で体得した人に更に上の技術を教える、いわゆる篩いに掛けて残った人だけが上のレベルに行けるシステムだったのでは無いかと思います。

それらの事を知人に伝えたところ、知人も学生の時にボール拾いをさせられるのは無駄と思い、部活をやめた事を悔やんでいました。

この雑用の意味を理解出来て、篩いに掛けることなく、皆にレベルアップさせる事が出来るレッシュ理論は凄くて、素晴らしいと痛感しました。

私自身、これからも治す事はもちろんフィジカルトレーニングの本当の意味を理解し極めていけるように精進いたします。


 
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