「触れる」
前回の私のコラムは「触れる」という事についてでしたが、今回もそんなテーマで作成してみました。よろしくお願いします。
まず「触れる」という感覚は、医学的に
「皮膚感覚」という感覚に分類されます。
そこには「触圧覚」「痛覚」「冷覚」「温覚」が含まれ、
主に皮膚にある感覚受容器が外部からの圧力を感知し、脳に信号を送る仕組みになっています。
実はこの「触れる」感覚は、人生で最も付き合いの長い感覚と言われているのをご存知でしたか?
新生児の視力は0.1以下と言われています。
でも手掌や足底などの触覚はとても敏感です。
そして高齢者になると視力や聴力や味覚には衰えが現れ易いですが、臨終の間際まで手を握ってこちらの存在を伝えたりする事があるように、ギリギリまで触覚は残ります。
つまり新生児から臨終の間際まで、我々は触覚のお世話になっているという訳です。
そして「触れる」という事は、他の部分との接触であり、言い換えれば皮膚は「世界に触れる器官」なのです。
飛躍した言い方になるかもしれませんが、
何かに触れるという事は、
社会性の一番基礎になる行為と言えるのかもしれません。
また医療の原点は「手当て」と言われます。
触れ合う事により、脳下垂体からオキシトシンというホルモンが分泌され、心理的にも身体的にも良い作用をもたらします。
具体的には、情緒の安定、愛着形成、自己肯定感の向上、心拍や血圧の安定、痛みの減少などなどです。
まだまだ、新型コロナウィルスの影響は続きそうですが、
人間のこの優れた感覚を使って、
実際に品物を手に取って物の「風合い」を感じたり、握手やハグなど「肌で感じる」事が当たり前に出来るような日常が、1日でも早く訪れるといいですね。
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