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一口コラム
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こちらのコラムでは週替わりで先生方が順番にお話しをしてまいります。
 
施術部西澤正樹

第438回 一口コラム

今回の担当は
施術部 西澤正樹 です。

平成30年8月15日

 

「リミッターを外せ!」

先日総合格闘技の大会、RIZINが開催され、テレビでも放送されました。
メインはRENA vs 朝倉カンナのリベンジマッチ。
前回対決は、朝倉選手が先輩格闘家のRENA選手を、チョークスリーパーで絞め落としての一本勝ちでした。

今回の結果はというと、判定3-0でまたまた朝倉選手の勝ちでした。朝倉選手が寝技で有利な展開で攻め続け、終始ペースを握っての判定勝ちでした。

総合格闘技という競技は、ほぼ全ての攻撃がルール上有効であるため、色々な格闘技ジャンルからの選手が参戦します。
今回も、打撃系格闘技がベースのRENA選手対組技系格闘技がベースの朝倉選手という、異種格闘技戦色が強い試合でした。
そういう試合では間合いや組み際、離れ際などの接点、「際」の攻防が非常に大切であり、また見所にもなります。
私個人的に感じた勝負の別れ所は、組技に持ち込みたい朝倉選手が、RENA選手の身体の一番遠位にある足首を捉え、そこからのタックルを粘り強く決め、寝技に持ち込んだところだと思います。
掴まれた足首を切ろうと(解除する事)するRENA選手よりも、一度捉えた接点を絶対に逃がすまいとする朝倉選手の気持ちが勝り、その「際」の攻防を競り勝ったシーンが何度かあり、そこが勝負の全てを物語っていたように思いました。

事前に、試合に向けてのトレーニング風景を追った番組が放送されていたのですが、朝倉選手のコーチが課した課題は「リミッターを外す事」。
メニューは階段ダッシュを何本も続けて行う、というものでしたが、
全部で何本行うメニューだからそれをこなせるようにスタミナをつける、とかではなく、
一本目から全力を出し切る事。
つまり常に全力。そうする事で自分の限界を超えていく事。

こういう練習はなかなか選手個人だけでは難しいものです。限界から更に叱咤してくれる鬼コーチがいてくれてこそ、自分の限界の殻を破る事が出来ます。
ここは絶対に譲らない、という意識を試合中持ち続けられた選手こそが、「際」を制し勝利を手繰り寄せる事が出来るのだと思います。
勝ちたいという選手の気持ちの強さと、
選手にとって必要な事を明確に理解して、心を鬼にして指導していたコーチの二人三脚で手繰り寄せた勝利だったように思います。

私個人的にも若かりし頃、総合格闘技のアマチュア全日本大会で優勝出来た時、側には鬼コーチがいました。試合前には同じように「リミッターを外せ!」と檄を飛ばして随分と追い込んでいただきました。決勝戦で僅差で競り勝てたのは、その時作ってくれた強い心があったからだと思っています。

施術者というプレイヤーとして常に全力である事、
トレーナーという指導者として必要な役に徹し切る事。
改めて心に刺さった出来事でした。
必死に頑張っている姿には人の心を動かす力がありますね。


 
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