「質感」
普段施術に従事している中で、色々と感じる事があります。
その中で今、ワードとして響いているのは物の「質感」です。
元々の性格としては困った事に、あまり深く物事を考える方ではないように思いますが、
廣戸道場で修行をしている内に必要に迫られて考えるようになりました。
普段施術中には、
表面的な視覚だけでは把握出来ない骨格の角度や動きを、
軸で自分の身体を支えて同圧でコントロールする事により、センサーとして機能させ、
患者さんのお身体を「立体的に捉える」事を心掛けています。
そんな中で、日常生活においても何となくそんな事を感じる時が増えてきました。
又は感じた事を整理出来るようになった、という方が正しいかもしれません。
例えば、シンガーやダンサーがライブパフォーマンスで、グッと感情を歌声や表情に出した瞬間や、
逆に感情を押し殺すようにスッと引いた時のヒンヤリした空気感、
ちょっと目線を落とす動きや間の取り方、吐息など。
又は格闘技の試合中の鬼気迫る表情だったり。
そんな時、その人の生き様が垣間見えるように思います。それが見えた瞬間に、その人の存在や質量が一気に増して迫ってきて、理屈ではなくダイレクトに心に響いてきます。
「本質に触れる」という言葉がありますが、
まさに「触れる」という表現が相応しいと思います。
「見る」、だけでも「聴く」だけでもなく、質感を伴った「触れる」という感覚。
どうやら人というものは、どこまでも奥深いもののようです。
人生に厚みを持たせられるかどうかは、
自分次第なのかもしれません。 |