「プレゼント」
私が日頃従事している「整体」という仕事は、当然ですが対象者があって初めて成り立つ仕事です。
そんな環境で過ごす中で自分自身が感じる事と、
今回新しく「BOOTLEG」というアルバムを発表したアーティスト、米津玄師さんの作品を聴いた感想と共に、
雑誌での彼のインタビューを読んで感じた事とを合わせて、今回はお伝えしたいと思います。
まず、世の中は人と人とで成り立っていると改めて思わされるのです。
世の中には様々な職種、立場が存在し、皆がそれぞれの分野で頑張る事によって世の中は回っている、
つまり、世の中はみんなで回しているんだという事。
それぞれの職場だったり、学生は勉学の場だったり、主婦は子育ての場だったり。
だからそう考えると、我々は孤独なようで皆繋がっているのだと思います。
米津玄師というアーティストは、以前のアルバムでは、自己完結している感じが強く、周りを寄せ付けない感じも彼の魅力の1つとして映っていました。
米津玄師という名義に変える以前は、
「ハチ」という名義で、自作の楽曲をインターネット上の架空のキャラクターである、「ボーカロイド」(初音ミク)に歌わせる形で発表し、自身は全くと言っていいほど露出がありませんでした。つまり、自分本位に好き勝手に制作した楽曲を投稿していたんですね。
彼自身、『「自分がどう思うか?」が全てで、「人が喜ぶかどうか?」という視点は無かった』と言っています。
そのため、今作で俳優の菅田将暉とコラボしたり、DAOKOとのデュエットした曲があったり、映画やアニメの主題歌があったりと、世の中との繋がりが一気に広がっていて、今までの彼では考えられなかった変化にびっくりさせられました。
そんな中、雑誌で彼のインタビューを読んで、彼の中にどんな変化が起きたのかを知る事が出来ました。
まず彼の中には、
「遠くへ行きたい」
という、音楽的な渇望が常にあるようなのです。
それがエネルギーになっていて、ある程度自分自身の中での音楽的な到達点に達した時期と、周りから色々なオファーがあったタイミングが合わさり、必然的な流れで新しい扉を開く方向になっていったようです。
ただ、彼には
「作品は自分自身が100%美しいと思えるものでなければならない」
という信念があり、それが他者との交わりを拒絶する事になっていたようです。
他者と交わる事により、自分のものじゃない感性が入り込んできてしまう。
でも今回、試行錯誤の末に、
「他者」と「自分」との間に立つ、
という新たな視点を持つ事が出来、
そこから互いの共通点を見つめる事が出来た時、
自分に妥協せず、さらに他者とも折り合いがつけられる、
という発見をしたそうです。
そうして歩み寄る事を、人にプレゼントする時のような気分と語り、
「人にプレゼントをしているつもりが、自分も与えられている」という事に気づけたそうです。
他者と交わる事により、色々な人のエッセンスを吸収して自分のものにする事が出来たようなのです。
結果、米津さん本人も納得のいく、新しい扉を開く素晴らしいアルバムが出来上がりました。
改めて考えさせられたのは、
人が1人で出来る事なんて限界があり、
互いに歩みよる事により、人は人によって影響を受け、成長させられていくという事です。
人に直接触れて施術を施す者として、
改めてその重要性を感じ、現状に満足しない向上心と、人に歩み寄る心を大切にしたいと思いました。 |