「ディープインパクト」
5/20、ロンドンオリンピックで金メダルを取った村田諒太選手がプロでも世界一になれるか?、と世間の注目を集めた一戦、ボクシングWBA世界ミドル級王座決定戦が行われました。
村田選手は世界最激戦区のミドル級でのオリンピック金メダリストという事もあり、フィギュアスケートの浅田真央選手や、大相撲の稀勢の里のように、ボクシングという枠を超えた国民的スターになる選手だと思いますし、マスコミもそんな扱いをしているように感じます。
そんな周囲の期待に応えるように、プロ転向後12戦12勝、4年の歳月をかけて、いよいよ機が熟し、満を辞しての世界初挑戦でした。
試合展開は村田選手が手数で勝る相手の攻撃に対してガードをキッチリ固めてブロックし、要所要所で力強いパンチを返す展開で、4回にはカウンターで綺麗にダウンを奪い、ダメージ、試合のペースでは相手を圧倒しているように見えました。
相手選手の反撃を警戒し、有利になっても深追いをし過ぎないように、冷静に、陣営の作戦通りに戦っていたように見えました。
勝負はフルラウンドを戦っての判定に委ねられましたが、試合終了のゴングを聞いた村田選手、
解説席のコメンテーターの方々、
会場の観客、
皆が村田選手の勝利を確信していたように感じました。
しかし結果は2人のジャッジが相手選手に、1人のジャッジが村田選手に、それぞれ大差をつける形で、判定が大きく割れました。
そして多数決で2-1で相手選手の勝利が告げられました。
まさかの結末。その瞬間場内はどよめきました。予測していたのと真逆の世界が一瞬にして現れたからです。流れが止まる、時が一瞬止まったかのような、「えっ⁈」という異様な空気がそこには流れました。大多数の方が現実を瞬時には受け入れられない感じでした。
現実は現実。結果が覆らない以上は受け入れるしかありません。
試合後のインタビューで村田選手は、判定に対して文句を言ったりは一切しませんでした。でも立っている足元がガラガラと崩れ落ちてしまったかのような不安定な精神状態に見え、現実をどう受け止めるべきか、という事で精一杯のようでした。 人生も自分のリズム、ペースで歩んでいる時には気づけない事や見えない事が沢山あるのかもしれません。
真剣勝負のリアルな世界では、時として残酷な結末が待っています。
ただその現実を突きつけられた時に、人は急成長するチャンスを手にしているのかもしれません。
厳しい世界ですが、リアルな世界に身を置き、逃げずに真っ向から立ち向かう、それをコツコツ繰り返して自分を成長させていく。
きっと村田選手はまた立ちあがり、しっかりと構えるのでしょう。
その姿に勇気を分けていただきながら、自分自身も頑張りたいと思いました。
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