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一口コラム
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こちらのコラムでは週替わりで先生方が順番にお話しをしてまいります。
 
施術部部長 小杉英紀

第328回 一口コラム

今回の担当は
施術部部長 小杉英紀です。

平成28年6月29日

 

「ご報告」

みなさんこんにちは。
今回は先日行った野球の指導の現場での出来事をお伝えしようと思います。

チームの全体練習の途中で、監督さんから一人のある選手の指導を依頼されました。
「この子はイップスで悩んでいます。何とかしてやりたいのですが・・・」
とのことでした。
何でも、数年前からイップスで悩んでいて、月2回遠方まで改善のための指導治療?)を受けに通っているとのことでした。
ここで、イップスの説明をすると
「精神的な原因などにより、スポーツの動作に支障をきたし、自分の思い通りのプレーができなくなる運動障害のことである(ウィキペディアより引用)」
平たく言えば「気持ちの問題」とされています。
しかしながら、形や大きさ、性質まで異なる各パーツが組織的に連動して行われいるのがヒトの身体の正しい動作の様子です。
ですから、逆に考えれば
「各パーツがそれぞれバラバラにに動こうとして、目的となる1つの動作を行えない状態」
にあるのが「正しく動けていない」「身体の誤作動」ということです。
メンタルに言及する前に、まず「身体のシステム」を見直す必要があると思います。
で、その選手の動きといえば、
「顔は前、左手はこうで右手はここ」
という感じで、「投げる」目的ではなく、「投げ方」だけを気にしている印象を受けました。
本人も「自分はイップスだ」という前提で動いていました。
元々、本人の身体を動かすセンスもあったのでしょう。いくつかのアドバイスの後ほんの5分くらいで「普通以上」に投げられてました。
具体的な内容は「体幹から柔らかく」ということだけです。もちろんそのための方策やこちからの発信の仕方には工夫をしました。本人や見ていた人
は、それまでそういう物言いを私がしてこなかった(はずです、たぶん)ので、驚いたかと思いますけど・・・

このチームには継続してリポーズをしてもらっているので、それが即効性があった一因なのは間違いないはずです。
「正しい動き」が出来なくなるプロセスは「正しい準備が出来ていないこと→準備不足を補うために余計な動きをし出すこと」
だと思います。ですから「正しい準備」をして「余計なことはしない」ことが、正確に正しい動きを再現し続ける唯一の方法だと思います。
因みに、このチームでこのことを一番しっかりしてきたと思われる主将は2試合で3本のホームランを打つまでになってくれました。その他の選手も総じて「素晴らしい進化」を遂げましたし、「修正までの時間」はおしなべて選手全員が早いです。

自然で気持ちよく身体を動かせる術が解れば、それをずっと続けられるし続けていたいと思うものです。
冒頭のイップスの選手は強いボールを投げられる感触を味わっていたように見えました。ほかの選手たちも練習の前半とは見違えるほどの力強い打球音を、後半以降は響かせていました。
「準備」の大切さを改めて学んだ気がします。
それを世界で一番丁寧に行ってきたであろう、イチロー選手とその大記録が何よりの証明です。


 
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