「テコ」
みなさん、こんにちは。
通常、廣戸道場での施術などの時は、
「骨や関節をテコのように使うと過度な負担がかかるので、なるべく全身を連動させて身体を動かしましょう」
とお話ししています。
ですが、中には例外となる場合もあります。
それは、槌(つち)骨、砧(きぬた)骨、鐙(あぶみ)骨ので構成されていて、あきらかにこれら以外の骨とは連動することなく、3つが「テコ」使ってその役割を担っています。
(これら3つの骨はそれぞれの形状から名前がつけられています。槌はトンカチの頭、鐙は乗馬時に足を乗せる道具です。砧は布を柔らかくしたり皺を伸ばすのに使われていた道具のこと、らしいです。)
これらの骨は3つの合わせて
「耳小骨(じしょうこつ)」
といって、読んで字のごとく、耳(鼓膜)の奥にある小さな骨です。
役割は、外部から伝わってきた空気の小さな震えを受けた鼓膜からの振動を、3つの骨がテコの原理で増幅し、リンパ液を介して最終的に電気信号として脳に伝えて「音」として認識出来るようにしています。人が身体を意図的に動かしたり、整体でアプローチする場所ではありませんから、このコラムで扱う内容とはないかと思います。
しかしながら、耳小骨は生物の進化の過程で爬虫類までには見られなかったもので、哺乳類が生き延びていくなかで既存の別の骨を億単位の年数をかけて獲得した骨でありシステムでもあります。
と考えれば、耳小骨に限らず、人間が二足歩行をする上で築きあげてきた全身の骨でやそれぞれの繋がり方にはとても重要な意味があるのだと思います。
|