「立体感」
先日、久しぶりに美術館に行ってきました。
20代の頃には、家内の影響で何度か足を運んだ事があるのですが、それ以来なので、20年ぶり位ですね。
あまり触れる事のない世界なので、新鮮で色々感じる事がありました。今回はその事について書きたいと思います。
最初に観たのは外国人の方々の油絵で、人物画や風景画でした。
その中で特に印象的だった絵はある花が書かれている絵でした。
その絵は近づいて見ると、乱暴に絵の具を重ねただけのように見えるのですが、少し離れて見る事により、それはとても綺麗な花になりました。
観る人がどの位置から観るのか、その位置から1番綺麗に見えるように、という事を考えて、想像力を膨らませて、計算されて書かれている感じがしました。
風景画で感じた事は、線の使い方で見え方が変わる事です。
絵の中に斜めの線が入ることにより、奥行きが出たり、動きが出たりするんですね。
川の絵は、奥から手前に向かって水が流れている様に見えました。
建物の絵では、斜めの線が交差する事により、建物に奥行きを感じる事が出来ました。
横に線を引いた構図だと静かな風景の印象をもちました。
その線の上の空間を大きくするか、下の空間を大きくするかによって、空の雄大さを感じたり、地面の雄大さを感じたり、勝手に印象が変わるのがとても面白かったです。
一見小学生が描いたんじゃないか?、みたいな落書きのような大雑把に見える絵があったのですが、構図の構成の仕方、線の引き方の組み合わせによって凄く立体感が出ていて、全然大雑把ではなく、むしろ計算されている事が分かり、思わず唸ってしまいました。
カメラで写真を撮る時も同じだと思うのですが、どう風景を切り取るかによって、印象って随分変わるものなんですね。
その後、掛け軸の絵を観ました。
縦に長い掛け軸の特徴を生かして、滝の絵だったり、富士山のような山だったり、高低差のあるダイナミックな絵が多かったです。
そして、この日1番凄いと感じた絵は、ゼリーとそれをすくっているスプーンをキャンバスいっぱいに描いたものでした。
離れて見るとスプーンの光沢やゼリーもとてもクリアで、写真のようにしか見えません。
ゼリーの透明さ、スプーンに乗っているゼリーのプルプルした感じ、その2つに湾曲して映っている事により想像される周りの風景が、見事に描かれていました。
物の質感や、間接的に描かれている風景による多次元的な立体感が見事でした。
総括して、絵は写真集とかで見ていても本当の良さは伝わらないなと思いました。
そして、脳の錯覚を利用していると思うのですが、平面の世界なのに、線の使い方や陰陽のコントラスト、絵の具の厚みなどにより、3次元的に立体感を表現する事は可能なんですね。
実際にその風景の中に自分がいるようだったり、絵を飛び出して絵の空間がこちらの世界に拡がってくるような感覚になったり、まるで旅をしたような気分にさえなりました。
立体的に見る、考える、感じる。
とても大切な事のように思います。
脳が凄く刺激を受けたように感じました。また時間を作って違う美術館にも行って見ようと思います。
皆さんもお忙しい日常の中、ついつい視野が狭くなりがちだったりするかもしれません。
たまには絵などをじっくり観る時間を作ってみてはいかがでしょうか?
脳の切り替えになるかもしれませんよ〜(⌒▽⌒) |