「戦うということ その弍」
前回の北岡選手に引き続き、今回は玉田選手の話。
玉田選手が戦う相手は今回で3回目の対戦となる。1戦目は有利に進めての引き分け、2戦目は圧倒的な判定勝ち。
普通に考えたら有利に間違いないのだが、ここ何試合か勝ちに恵まれず、度々怪我もして、精神的に追い込まれている状況だったため、過去2戦のいいイメージは頭から消え去っていた。
調子が上がらない玉田は、ジムの先生からも「こんな状態じゃ負けるよ!」とはっきり言われ、スパーリングでは、容赦なく関節を極められ、身体はボロボロ。
でも泣きながら喰らいついて行く事によって、徐々にリズムを掴んで行く!
選手としては非常に不器用、人の何倍も繰り返さないと技を習得できない、本人もそれを自覚して、ひたすら同じ事を繰り返す、それによって生まれた技の精度、無尽蔵のスタミナ。
最近の負けた試合は、観ている人にとってはがゆい試合。
スタミナがあるのに、自分から行けない、試合後にまだスタミナが残ってる状態。
スタミナがあっても、勇気がないと意味がない。
試合が近づくにつれ、過去2戦のいいイメージを思い出しつつも、それに甘んじる事なく、新たな自分を作って行く。
腹は決まった!
試合は圧勝だった、絶えず自分のリズムで動き、タックルから得意の寝技に持ち込み、あっさり関節をとった。
本人はポツリとつぶやく「なんか夢みてるみたい」
無我夢中。
ただひたすら人の何倍も練習した事が、あっさり出た。
「何倍も練習して凄いね」って僕が言うと、「何倍も練習しないとできないからするだけですよ」と、たどたどしく答える。
当たり前みたいだけど、意外にできない事!
己を知るって必要な事、知ったうえで努力する。
おめでとう!玉田育子!
2人の戦いは、まだ続いていく。 |