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一口コラム
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こちらのコラムでは週替わりで5人の先生方が順番にお話しをしてまいります。
 
小杉英紀施術部部長

第128回 一口コラム

今回の担当は
施術部部長 小杉英紀です。

平成24年7月25日

 

「目的意識と根性」

皆さん、こんにちは。

梅雨も明けて本格的な夏がやって来ました。「夏」というと、私自身がそうだった事もあり、やはり「高校野球」がパッと頭に浮かびます。高校生がひたむきにボールを追いかける姿は、やはりいいものですね。

ただ、最近の高校野球を見ていると疑問に思う事があります。

それは、ヒットを打った選手がやたらとガッツポーズをしている事です。

確かに、この試合の為に、この打席で1本のヒットを打つ為にどれだけ素振りをし、どれだけの練習を積んで来たのか、を思うと、その成果が出た事の喜びを仲間と分かち合う喜びがあるのはとてもよくわかります。

でも、ヒットを打つのも、塁に出るのも、最終的には「点を取る為」であり、「チームの勝利の為」です。

ですから、例えば、試合を優位に進める為には先制点、という鉄則に則るのであれば、初回の先頭打者がヒットで塁に出た場合、喜んでガッツポーズしている余裕があるのなら、相手の連携にミスが無いか確認する、とか監督はどんなサインを出すのか、そのサインに対して自分は何をするのか考える、とか点を取る為にすべき事がたくさんあるはずです。

バットを持って、打席に入り、ボールを打つまでは「バッター」ですが、打った瞬間に何としてでもホームに帰って来なければならない「ランナー」に変わるのです。厳しい言い方をすれば「ヒットを打てた事を喜んでいる暇があるのならランナーとしてどんな仕事が出来るのか考えろ」という事なのです。

ガッツポーズしている間に相手のミスがあって、もう一つ進塁出来た状況をフイにしたばかりに1点足りずに負けた、となった時に「負けちゃったけど自分はヒット打てたからいいや」とはならない、ですよね。

漫画「GRAND SLAM」の中で主人公の一心くんが捕手の蔵座くんと「マウンドに上がったら“投げる”と捕手から返されたボールを“取る”に集中しよう」という約束をするシーンがあります。究極的に投手の目的は捕手のミットに向かって投げる事、です。投げる前には状況から投げる球種やコースを考える重要な作業はありますが、それを決めたら遂行するだけ、なのです。結果を考えて余計な心配や妄想、行動をするのは、目的に集中出来ていないからです。

これは普段の練習にも言える事です。

自分が成長する為には辛いトレーニングをこなさなければならないと思います。でも、トレーニングの目的は、その辛さを乗り切る事でも、乗り切った満足感を得る事でも無く、今の自分よりも少しでも上手くなる事です。辛いのを耐える為に歯をくいしばってもレベルアップ出来なければ悲しいし、後悔が残りますよね。

負けたら終わり、の高校野球です。その時は夢中でもあとになったら、あの時ああしておけばよかった、もっといろいろと出来る事があったな、と思う事は必ずあるでしょう。

どんな事でも「目的意識」を持って必死に練習し、感情に流されずに状況を冷徹に見つめて行動する事は大変ですが、成果を出す為にそこに「根性」を発揮出来るか、が上達の鍵だと思います。


 
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