「無意識について(3)」
こんにちは。
廣戸道場の小杉です。
前回のコラムは、 「『無意識』で非常に便利な『手』を使うことがなぜ『横着』なのか?
またその傾向が大人で顕著なのか? 」
こんな形で終わりました。
今回はその続き(答えとでもいいましょうか)です。
私達廣戸道場では、動作にっての最重要点は「軸を獲得した体幹の安定」にあると考えます。
逆の言い方をすれば 、「体幹が不安定で軸の無い状態では正確な動作は出来ない」とも表現出来るでしょう。
ですので、身体を安定させたりバランスを取るために手を用いるのはなるべく使わない事、と言えます。
例えば、日常の動作においては、床や畳などに手を使わずに立ったり座ったり出来るかどうか、また電車やバスで余程の揺れが無い限り吊り革や手摺に頼らないでいられるか、などです。
本来、というかまだ手や腕の発達途上の幼少期のの子供は上手に、手を使わずに「立つ」、「座る」の動作を行います。
これは手の力があまり強くない事と併せて、人間(広い意味で脊椎動物)の動作の基本である、体幹でしっかり軸を作り、自分の重心をコントロールした事によってはじめて可能となります。
翻って、大人が同じ動作を試みた場合、「よっこいしょ」の掛け声を伴って、先ず手をついて身体を支える予備動作が入る事が多いと思います。
実際に手を使わずに立ったり座ったりしてみて下さい。意外に難しいと思います。
これは腕力の向上や柔軟性の欠如などにより、「枝葉」である「手」を用いなければ体「幹」を支えられない、という逆転現象が起こっている証拠でもあります。
また、いわゆる「ハイハイ」も、小さな子供、特にそれをし始めた赤ちゃんは、例えが悪いですがまるでトカゲが歩く様に、まず背骨を左右にくねらせて、その後に手足が動いて進んでいきます。
かたや我々大人は背骨(体幹)は殆ど動く事無く、手足だけでバタバタと動く傾向が強いです。
この様に、本来主導するべき体幹の動きが低下したり疎かになると、ゴルフやテニス、野球等で、悪い動きの例として言われる「手打ち」を誘発する原因にもなってきます。
この様に、便利で、器用さを獲得していく事が可能な「手」が、動物本来持っていた機能を低下させてしまう事も多々あるのです。
ですので、普段無意識で使っている「手」を、日常生活の中で意識的に使わずに過ごしてみると、意外な刺激が脳や身体に入っていくと思います。
色々な運動も暑さで困難になりがちなこの季節、あまり負担にならない、些細な動作の見直しをする良いタイミングかもしれません。
全国的に暑い日が続きそうな予報ですが、皆様健康管理には十分ご注意下さい。 |