「叩き潰した先に咲く花」
こんにちは。関口です。
さて昨今よく聞き、目にする言葉。
「個性を大事にしよう」「自分らしく生きよう」
雑誌のインタビューでも、自己啓発本でも、SNSのタイムラインでも、みんなが「自分らしさ」を主張し、唯一無二であることを目指しているように思います。
でも、その「らしさ」って、一体どこから来るんでしょうか?
最初から自分の中に備わっているもの?
それとも、周りと違う行動や見た目を選ぶこと?
最近読んだ能の漫画の中でこんな言葉に出会いました。
「悪癖を叩き潰して、叩き潰して、それでも残るのが“真の個性”だ」
能の世界では、まず型を徹底的に叩き込む。
そして、その中で無意識の癖をひたすら潰す。
それを何度も何度も繰り返す中で、最後にどうしても消えない「何か」が残る。
それが、その人だけの「芯」であり、「花」だといいます。
僕たちの日常でも同じかもしれません。
自分らしさを大事にしたいなら、まずは自分の中の「楽をする癖」や「取り繕う癖」を見つめてみる。
そして、それらを一つずつ削いでいく。
それは派手な作業ではないし、むしろ地味で苦しい、まさに修行のような行程です。
でも、その苦しい行程の先にしか、本当の「花」は咲かない。
最初から「自分らしさ」を押し出すのではなく、むしろ「余計なものを徹底的に捨てる」ことで初めて見えてくる。
そう考えると、「個性を出そう」と肩に力を入れる必要なんて、そもそもないのかもしれません。
足すよりも、引く。
飾るよりも、磨く。
悪癖を叩き潰した先に、それでも残るものが「真の個性」
能の舞台に立つ役者たちの言葉が、静かに強く、心に響いています。 |